価格上昇時のFIFOとLIFO:COGS 2,600、棚卸資産1,000
ある企業が価格上昇中に300単位を購入し、そのうち200単位を販売します。後入先出法 (last-in first-out, LIFO)では、売上原価 (cost of goods sold)は2,600、期末棚卸資産 (ending inventory)は1,000です。「LIFOは原価が高い」という言葉を貸借対照表にも当てはめると、棚卸資産を1,400と報告してしまいますが、これは先入先出法 (first-in first-out, FIFO)の金額です。価格上昇時にはCOGSが増える一方で棚卸資産は減り、この二つは仕組み上、必ず逆方向に動きます。
三つの数値は動きますが、同じ方向には動きません
売上原価と期末棚卸資産は、一つの固定された合計額を分け合います。販売可能商品原価 (goods available for sale)は一つの金額であり、どの原価配分方法も、そのうちどの部分を損益計算書に計上し、どの部分を貸借対照表に残すかを決めるだけです。両者を足した合計は、FIFO、LIFO、加重平均原価法 (weighted average cost)のいずれでも同じです。したがって、一方を増やす方法は、もう一方を減らさなければなりません。両方が増える問題はありません。
Goods available for sale = Beginning inventory + Purchases = COGS + Ending inventory
価格が上昇しているとき、LIFOは直近に仕入れた最も高価な単位をCOGSに計上し、古く最も安価な単位を棚卸資産に残します。FIFOはその逆です。その結果、LIFOではCOGSが高く、売上総利益 (gross profit)、純利益 (net income)、期末棚卸資産、税負担はいずれも低くなります。加重平均は必ず両者の中間になります。
300単位の例題を解く
期首棚卸資産 (beginning inventory)は、100単位、単価10です。その後、企業は100単位を単価12で、さらに100単位を単価14で購入します。200単位を単価20で販売し、手元に100単位が残ります。販売可能商品原価は300単位、合計3,600です。
FIFO COGS = (100 × 10) + (100 × 12) = 2,200, and ending inventory = 100 × 14 = 1,400
LIFO COGS = (100 × 14) + (100 × 12) = 2,600, and ending inventory = 100 × 10 = 1,000
Weighted average cost per unit = 3,600 ÷ 300 = 12, so COGS = 2,400 and ending inventory = 1,200
どの組み合わせも合計は3,600です。この種の問題で最も速く使える確認方法であり、必要なのは足し算一回だけです。
収益は200 × 20 = 4,000です。その他の営業費用がなく、税率が25パーセントの場合:
FIFO pre-tax income = 4,000 − 2,200 = 1,800, tax = 450, net income = 1,350
LIFO pre-tax income = 4,000 − 2,600 = 1,400, tax = 350, net income = 1,050
LIFOでは利益が300少なく報告され、納税額は100少なくなります。この100は企業内に残る実際の現金であり、米国企業がLIFOを選択する最大の理由です。300は会計上の結果です。どの方法がより良いキャッシュ・ポジションをもたらすかという問いと、どの方法がより高い報告利益をもたらすかという問いは、異なる項目を尋ねており、答えの方向も逆になります。
LIFO引当金から分析者が元に戻せるもの
LIFOを採用する企業は、報告した棚卸資産とFIFOで報告したはずの棚卸資産との差額であるLIFO引当金 (LIFO reserve)を開示します。上の例では、その差額は1,400 − 1,000 = 400で、COGSの差額2,600 − 2,200と正確に一致します。どちらも同じ合計額を分けた結果だからです。
LIFO reserve = FIFO inventory − LIFO inventory
FIFO COGS = LIFO COGS − Change in LIFO reserve
二つ目の式で使うのは、期間中の引当金の変動額であり、残高ではありません。残高は貸借対照表を調整し、変動額は損益計算書を調整します。両者を混同すると、もっともらしく見えても選択肢にない数値が出ることがよくあります。
引当金は警告も発します。売上総利益が増える一方で引当金が減っている場合、企業は購入量を上回る数量を販売し、古く安い層をCOGSに振り替えた可能性があります。これはLIFO清算 (LIFO liquidation)であり、そこから生じる利益率の改善は一時的なもので、事業運営の改善を示すものではありません。
早見表
| 問題文の表現 | 判断できること | 見落とした場合のリスク |
|---|---|---|
| 「価格が上昇している」 | LIFOではCOGSが高く、期末棚卸資産が低い | 二つの方向の一方を逆にする |
| 「価格が下落している」 | 上記の方向がすべて逆になる | 暗記した価格上昇時の答えを当てはめる |
| 「IFRSに基づき報告する」 | LIFOは使用できないため、FIFOか加重平均を選ぶ | 存在し得ないLIFOの答えを選ぶ |
| 「LIFO引当金がX」 | 残高は棚卸資産を、変動額はCOGSを調整する | 変動額を使うべきところで残高を使う |
| 「棚卸資産数量が減少した」 | LIFO清算により売上総利益が押し上げられた可能性 | 利益率の上昇を持続可能と捉える |
一つの構造的な事実で、この種の問題の多くを解けます。IFRSではLIFOは認められていません。IAS 2が互換性のある商品について認めているのはFIFO、加重平均原価法、個別法だけです。US GAAPではLIFOが認められていますが、会計基準ではなく税法上の制約があります。米国企業が税務申告でLIFOを使う場合、株主や債権者に提出する財務諸表でもLIFOを使わなければなりません。したがって、米国の報告企業にとって「どの方法が高い純利益を報告するか」と「税務上どの方法を選好するか」は、別々に答えられる問題ではありません。選択は一度だけです。
ここでの方向の問題は、キャッシュ・コンバージョン・サイクルで、ほかの二項目を加える一方、買入債務回転日数を差し引くことと同じです。どちらも計算は簡単で、符号こそが問題の核心です。
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