CFA為替:USD/EURが4%上昇、ドルは3.85%下落
USD/EURが1.2500から1.3000に動いたとします。これをドルの4.00%の下落 (depreciation) と読むと、方向は正しくても数値が違います。ユーロは4.00%上昇 (appreciation) していますが、ドルの下落率は3.85%です。それぞれの変化率は、異なる当初の値を基準に計算するためです。
為替レート (exchange rate) がどの通貨の価格を表すか
CFAの経済学で使う表記慣行では、為替レートを価格通貨 (price currency) / 基準通貨 (base currency)と表します。基準通貨は価格を示される側の通貨で、常に通貨一単位を基準にします。価格通貨は、その一単位の価格を表す通貨です。
USD/EUR = 1.2500 means one euro costs 1.2500 dollars
つまり、ユーロが基準通貨、ドルが価格通貨であり、表示されている数値はユーロの価格です。この読み方が問題の核心です。逆に読んでしまうと、その後の手順自体が正しくても、すべてに最初の誤りが引き継がれます。
スラッシュは割り算の記号ではなく、読み方を推測する手掛かりでもありません。市場の取引現場では同じ通貨ペアをEURUSDと書き、金融メディアではEUR/USDと書くことがよくありますが、どちらもCFAの順序とは一致しません。問題文に「USD/EURレート」とあれば、どの通貨の価格を表すかはすでに指定されています。それはスラッシュの後ろにある通貨です。
レートの上昇は基準通貨が強くなったことを示します
USD/EURが1.2500から1.3000へ上昇すると、同じユーロを買うのに以前より多くのドルが必要になります。ユーロは上昇しています。より多く必要になった側のドルは、下落しています。
ひっかけは、「USD/EURレートが上がった」という表現が、ドルが先に書かれているため、ドルについて述べているように聞こえることです。実際に述べているのは基準通貨の価格の動きであり、基準通貨はユーロです。
実際の金額に置き換えれば、短時間で確かめられます。1.2500では、10,000ユーロで12,500ドルを買えます。1.3000では、同じ10,000ユーロで13,000ドルを買えます。価値が高まったのはユーロです。表記の理屈を考える必要はありません。
4.00%も3.85%も正しい理由
基準通貨の上昇率は、表示されたレートからそのまま計算できます。
EUR appreciation = 1.3000 / 1.2500 − 1 = 4.00%
価格通貨の下落率を求めるには、レートを逆数にする必要があります。ユーロで表したドルの価値は、当初の値も異なる別の系列だからです。
EUR/USD before = 1 / 1.2500 = 0.8000
EUR/USD after = 1 / 1.3000 = 0.7692
USD depreciation = 0.7692 / 0.8000 − 1 = −3.85%
4.00%の符号を反転させるだけでは−4.00%となり、これは誤答の選択肢です。正しい簡便計算は1 / 1.04 − 1 = −3.85%です。上昇率と下落率は、単に互いの符号を反転させるのではなく、レートの逆数から求めるためです。
金額でもう一度確認します。10,000ドルは旧レートでは8,000ユーロに交換できましたが、新レートでは7,692.31ユーロになります。307.69ユーロの減少であり、これは8,000の3.85%です。ドルの下落率のほうが小さいのは、より大きな基準値に対して測っているためです。
変動が大きくなるほど、変化率の差も広がります。4%の上昇に対応する下落率は3.85%ですが、25%の上昇では20%の下落となり、レートが倍になると反対側の通貨の価値は50%下がります。試験に出る程度の変動では、両方の数値が十分近いため、どちらも選択肢に並びます。
直接表示 (direct quote) と間接表示 (indirect quote) には投資家の立場も関わります
直接表示と間接表示は、表記の見た目ではなく、どの国から見るかによって同じレートを区別するものです。価格通貨が自国通貨 (domestic currency) なら直接表示、自国通貨が基準通貨なら間接表示です。
USD/EURは米国の投資家には直接表示、欧州の投資家には間接表示です。レートは変わっていません。変わったのは、それを読む人の立場だけです。問題文で投資家の自国が指定されている場合、通常は単なる背景説明ではなく、この区別を答えに反映させるためです。
早見表
| 問題文の表現 | 読み取るべきこと | 見落とした場合の誤り |
|---|---|---|
| USD/EUR | EURが基準通貨で、その価格をUSDで表します | 先に書かれた通貨が価格を示される側だと読み違えます |
| レートが上昇します | 基準通貨の価値が上昇しています | 先に書かれた通貨が強くなったと判断します |
| 基準通貨の上昇率 | New rate / old rate − 1 | 必要がないのにレートを逆数にします |
| 価格通貨の下落率 | 両方のレートを逆数にしてから計算します | 上昇率の符号だけを反転させます |
| 直接表示 | 自国通貨が価格通貨です | 投資家がどの国にいるかを見落とします |
このひっかけに出てくる数値は、どちらも、問う言葉が違えば正解になります。「ユーロはどれだけ上昇したか」と「ドルはどれだけ下落したか」は同じ市場の動きを指しますが、答えは同じではありません。レートを「ユーロ当たり1.2500ドル」と声に出して読めば方向を確認でき、計算前に逆数にすれば変化率を正しく求められます。
同じ手順の大切さは、現金変換サイクル(キャッシュコンバージョンサイクル)にも表れます。そこでは、一つの項目だけがほかの二つとは逆の符号で計算に入ります。どちらも、方向が定まれば計算は簡単ですが、方向を取り違えると必ず誤った答えになります。
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