CFA:クリーン価格97.60、支払額99.60の理由
債券の提示価格 (quoted price) が97.60で、あなたが額面価値(パー) (par value) 100分を購入するとします。決済(セトルメント) (settlement) 時に口座から支払われる現金は97.60ではなく、99.60です。提示されているのはフラット・プライス (flat price)で、請求されるのはフル・プライス(ダーティ・プライス) (full price)だからです。差額2.00は未収利息(経過利子) (accrued interest) です。問題で問われた価格と別の価格を計算してしまっても、選択肢には両方の数値が用意されています。
提示価格に含まれないもの
利払日と利払日の間には、債券に異なる価格があり、CFAカリキュラムではそれぞれの名称を明確に区別しています。フル・プライスは、ダーティ・プライス (dirty price) または請求価格 (invoice price) とも呼ばれ、買い手が支払う全額を指します。フラット・プライスは、クリーン・プライス (clean price) または提示価格とも呼ばれ、フル・プライスから経過利子を除いた価格です。
Full price = Flat price + Accrued interest
Accrued interest = (t ÷ T) × PMT
ここで、tは前回の利払い (coupon payment) から決済までの日数、Tは利払期間 (coupon period) 全体の日数、PMTはその期間の利払額です。経過利子は、まだ支払われていない利息のうち、売り手に帰属する金額です。次回の利息は買い手が発行体から全額受け取るため、決済時には、売り手が債券を保有していた期間に対応する利息を買い手から売り手へ支払います。
ディーラーがフラット・プライスを提示するのには実務上の理由があります。経過利子は利払日ごとにゼロに戻り、次の利払日まで着実に増えていきます。そのため、フル・プライスは債券の割安・割高とは無関係に、のこぎりの歯のように上下します。その部分を除けば、提示価格を日々比較できます。この上下動は利払いの日程から生じるもので、価格変動ではありません。
具体例を最後まで計算します
額面価値100に対して年6%の利息を支払い、前回の利払日時点で利払いがあと三回残っている債券を考えます。市場割引率 (market discount rate) は7%です。30/360方式では利払期間は360日で、決済はその開始から120日後に行われます。
まず、前回の利払日時点で残りのキャッシュフローを評価します。
PV = 6 ÷ 1.07 + 6 ÷ 1.07² + 106 ÷ 1.07³ = 5.6075 + 5.2406 + 86.5276 = 97.3757
次に、その価値を利払期間の120/360だけ先の決済時点まで複利で進めます。
Full price = 97.3757 × 1.07^(120/360) = 99.5967
これが請求価格です。続いて、経過利子と提示価格を求めます。
Accrued interest = (120 ÷ 360) × 6 = 2.00
Flat price = 99.5967 − 2.00 = 97.5967
割引計算でどちらの価格が得られたかに注目してください。現在価値(PV) (present value) の計算で求まるのは、常にフル・プライスです。キャッシュフローを決済日まで割り引いているためです。フラット・プライスは、その後に引き算をして求めます。提示価格を問われているのに99.60と答えた受験者は、評価計算そのものは正しくできていますが、最後の手順が抜けています。
日数の比率と利払額は同じ期間にそろえます
この計算で起きる別の誤りは、式の中で期間が一致していないことです。PMTは年間の利払額ではなく、その期間の利払額です。同じ6%の債券が半年ごとに利払い (semiannual coupon) を行い、180日の利払期間のうち60日が経過したとします。その期間の利払額は3.00なので、経過利子は(60 ÷ 180) × 3 = 1.00です。半年の日数比率に年間の利払額を組み合わせると、(60 ÷ 180) × 6 = 2.00となり、ちょうど倍になります。日数比率と利払額は、同じ期間を基準にする必要があります。
tとTを決めるのは日数計算慣行 (day-count convention) であり、試験問題で指定されるのには意味があります。30/360方式は各月を30日、各年を360日として扱い、一般に社債で使われます。actual/actual方式は週末とうるう日を含む実際の暦日を数え、一般に国債で使われます。日数計算慣行を変えると経過利子が変わり、提示価格が同じでも請求価格が変わります。
早見表
| 問題文の表現 | 読み取るべきこと | 見落とした場合の誤り |
|---|---|---|
| 提示価格、クリーン・プライス、フラット・プライス | 経過利子を含まない価格です | 代わりに請求額を答えてしまいます |
| 請求価格、ダーティ・プライス、フル・プライス | 決済時に支払う現金の総額です | 提示価格を答え、支払額を過小に計算します |
| 社債、30/360 | 各月を30日、各年を360日として数えます | tとTに実際の暦日数を使ってしまいます |
| 国債、actual/actual | 実際の経過日数を期間全体の実日数で割ります | 30/360方式の簡便法を使ってしまいます |
| 半年ごとの利払い | PMTは年間ではなく、その期間の利払額です | 経過利子を倍に計算してしまいます |
大半のミスは、ある習慣で防げます。利払日の間の時点で評価計算をしたら、選択肢を見る前に、今求めたのがどちらの価格かを書き留めてください。この種類の問題では、通常、正しいフル・プライス、正しいフラット・プライス、経過利子の計算ミスから作られた数値が並びます。何を問われたかを確認するまでは、どれも正しそうに見えます。
同じ読み違いは、直接利回りと最終利回り(YTM)のひっかけにもつながります。同じ債券について複数の正しい指標があるなかで、問題文はそのうちの特定の指標を指定しています。
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