CFA:名目年利率12%と実効年利率12.68%の違い

銀行が年12%、月次複利という金利を提示しています。これを12%の収益率と読んだ受験者は12.00%と答えますが、実効年利率 (effective annual rate)は12.68%です。各月の利息にも、その年の残りの期間に利息が付くためです。差は小さくても、そこがまさに問題の要点です。

名目年利率 (stated annual rate) は表示上の利率です

名目年利率は、名目金利(表示金利) (quoted rate) または名目金利 (nominal rate) とも呼ばれ、あくまで金利の表示方法です。これを年間の複利計算回数 (compounding frequency) で割って初めて期間利率 (periodic rate)が求まり、その期間利率で複利計算して初めて実際の年間収益率が求まります。この二段階の手順の後半を省くと、得点を逃します。

Periodic rate = Stated annual rate / m

EAR = (1 + Periodic rate)^m − 1

ここでmは年間の複利計算回数で、半年ごとなら2、四半期ごとなら4、毎月なら12です。名目年利率がそのまま価値の計算に使われるわけではないことに注目してください。名目年利率は期間利率を求めるための入力値であり、実際の計算に使うのは期間利率です。

名目年利率と実効年利率が一致するのは、年次複利の場合だけです。m = 1なら累乗による違いがなくなり、名目年利率12%は実効年利率でも12%です。それより頻度が高ければ、実効年利率は名目年利率を上回ります。問題文で複利計算の頻度が指定されていれば、両者が異なることを示しています。

12パーセントの例を計算します

年12%、月次複利を考えます。期間利率は月に一パーセントで、それを十二か月分複利計算します。

Periodic rate = 0.12 / 12 = 0.01

EAR = (1.01)^12 − 1 = 1.126825 − 1 = 12.68%

金額にすると、表示金利12%で投資した1,000は、翌年には1,120.00ではなく1,126.83になります。上乗せされる6.83は利息に付いた利息であり、選択肢の数値の差はすべてこれで説明できます。

複利計算の頻度だけを変えると、同じ表示金利12%でも、次のように段階的に結果が変わります。

Semiannual: (1.06)^2 − 1 = 12.36%

Quarterly: (1.03)^4 − 1 = 12.55%

Daily: (1 + 0.12/365)^365 − 1 = 12.75%

mが大きくなるほど、上昇幅は小さくなります。年次から半年ごとの複利に変えると36ベーシスポイント(bp) (basis point) 上がりますが、日次から頻度を無限に増やしても、上昇幅はベーシスポイントの四分の一未満です。その極限が連続複利 (continuous compounding)であり、離散的な複利の式は指数関数を使う式に置き換わります。

EAR = e^(Stated annual rate) − 1 = e^0.12 − 1 = 12.75%

日次複利も連続複利も、小数点以下二桁に丸めると12.75%になります。そのため、試験で両者を区別させたい場合は、より細かい桁まで示すか、数値ではなくどちらが大きいかを問います。

逆算のほうが難しくなります

試験では、受験者が思う以上に逆方向の計算が出題されます。目標とする実効年利率が12%の場合、月次複利での名目年利率は12%ではありません。月次の複利効果が収益の一部を生むため、それより低くなります。

Stated annual rate = [(1.12)^(1/12) − 1] × 12 = 11.39%

同じ収益率を表していても、表示される利率は異なることがあります。だからこそ、比較には実効年利率が適しています。これらの数値のうち、複利計算の慣行が異なる契約間でも同じ意味を持つのは、実効年利率だけです。

早見表

問題文の表現読み取るべきこと見落とした場合の誤り
名目年利率、表示金利、名目金利表示上の利率であり、mで割る必要があります年間収益率としてそのまま使います
月次、四半期、半年ごとの複利mの値が決まり、期間利率と指数が定まります期間利率ではなく名目年利率で複利計算します
実効年利率複利計算の頻度が異なっても比較できる数値です借入条件を表示金利だけで比較します
連続複利mを使う累乗式ではなく、eを名目年利率で累乗します指数関数を使わず、適当に大きなmを当てはめます

利率より先に、複利計算の頻度を読んでください。その習慣だけで、こうした問題の多くは、計算方法に悩む問題から式に当てはめる問題に変わります。mが分かれば式の形は決まり、迷う余地がなくなるためです。

同じ複利の考え方は、収益率の幾何平均と算術平均にも当てはまります。どちらも、各期間の数値を足し合わせた答えと、複利で計算して求める実際の結果は異なります。

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