保有コスト:配当が先渡価格を下げる理由
先渡価格を求める問題で、直物価格(スポット価格) (spot price)100、現在価値 (present value)が3の配当、金利5%、期間一年が示されます。資産に伴うすべてのキャッシュフローをコストとして扱う受験者は108.15を得ます。正しい先渡価格 (forward price)は101.85です。配当は資産保有の費用ではなく、保有者が受け取る便益だからです。
キャリーは保有から始まる
保有コスト(キャリー) (cost of carry)は、先渡契約の満期 (expiry)まで資産を保有することによる正味の経済効果です。その期間、保管費用 (storage cost)と保険料は価値を減らす一方、配当、クーポン、コンビニエンス・イールド (convenience yield)は保有者に価値をもたらします。先渡の買い手は満期前にこうした保有便益を一切受け取らないため、価格式では、保有にかかるコストと保有から得られる便益を直物価格に反映します。
F₀ = [S₀ + PV(costs) − PV(benefits)] × (1 + r)^T
括弧内では、符号と同じくらい時点が重要です。各コストと便益は、直物価格に加算または控除する前に、時点0の現在価値で表さなければなりません。その調整後の金額だけを、金利の項で将来価値にします。将来のキャッシュフローをS₀と直接組み合わせると、異なる時点の金額を同じ計算に入れることになります。
現在価値は、ここで実質的な役割を果たします。括弧内で取引の時点0におけるスナップショットを作り、直物価格、保有費用、保有便益をすべて同じ時点にそろえることで比較可能にします。
符号は保有者の立場で決まる
特に問題文に不慣れな英語が詰め込まれていると、名称に惑わされることがあります。配当は資産に伴う別の債務のように見えるかもしれませんが、保有者の立場では受け取るお金です。したがって便益に分類され、控除する側に置きます。保険料の支払いは反対です。保有者が支出するお金なので、コストに含めます。
この扱いから、保有便益が先渡価格を引き下げる理由も分かります。今日資産を買う人は保有期間中にその便益を受け取りますが、今日契約して将来買う人は受け取りません。したがって、先渡価格には先渡の買い手が受け取れなかった価値が反映されます。コンビニエンス・イールドも、現金で入金される配当やクーポンではなく、現物資産を利用できることによる経済的な利点ですが、同じ便益に分類されます。
計算例
S₀ = 100、配当の現在価値が3、r = 5%、T = 1の場合、配当は便益として入ります。すでに時点0の金額なので、調整後の金額を期間分複利計算する前に、直物価格とともに括弧内へ置きます。
F₀ = (100 − 3) × 1.05 = 101.85
もっともらしい108.15という答えは、配当を代わりに加算すると生じます。この一つの符号変更により、資産保有者が受け取る現金をキャリー費用のように扱います。残りの計算が正しくても、経済的意味は逆になります。
クイックリファレンス
| 入力値 | 扱い | 経済的意味 |
|---|---|---|
| S₀ | 出発点の金額 | 時点0の資産価値 |
| 保管費用と保険料 | 現在価値を加算 | 保有者が支払う |
| 配当とクーポン | 現在価値を控除 | 保有者が受け取る |
| コンビニエンス・イールド | 現在価値を控除 | 現物保有が便益をもたらす |
| 調整後の直物金額 | (1 + r)^Tを掛ける | 時点0の価値を満期まで運ぶ |
コンビニエンス・イールドは、簡潔な式では見えにくい解釈上の罠です。取引明細に支払いとして表れなくても、特に即時に利用できることが重要な場合、現物資産へのアクセスには価値があります。目に見える現金受取だけを探すより、保有者が価値を得るか手放すかで入力値を分類する方が確実です。
これは、プット・コール・パリティで行使価格を割り引く場合と同じ時点の罠です。どちらも、符号を解釈する前にキャッシュフローを共通の時点へ移す必要があります。
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