直接利回り vs. YTM:CFA債券利回りの罠
ある債券のクーポンレート (coupon rate)は6%で、95で取引されています。利回りはいくらでしょうか。クーポンを価格で割ると6.3%となり、次へ進みたくなります。しかし、設問が求めているのが最終利回り (yield to maturity)なら、その数値はもっと高くなります。クーポンレート、直接利回り (current yield)、単純利回り (simple yield)、YTMは互いに関連していますが、それぞれ異なる尺度です。違うものを選ぶと、CFA Level IのFixed Income問題で簡単に誤答してしまいます。
直接利回り——すぐ求められるが不完全な尺度
直接利回り=年間クーポン÷現在価格です。支払価格に対する現金収入を測るもので、測定するのはそれだけです。満期に向けて価格が額面価値 (par value)へ収束する際の利益または損失、再投資収益、貨幣の時間価値は含まれません。これは総合リターンではなく、インカム利回りの尺度です。
最終利回り——すべてを含む尺度
最終利回り (YTM)は、債券が約束するすべてのキャッシュフロー、つまり各クーポンと額面価値での償還額の現在価値を現在価格と等しくする単一の割引率です。クーポン収入、価格と額面価値の差による利益または損失、貨幣の時間価値が織り込まれます。
試験でよく問われる注意点があります。YTMが実現リターンとなるのは、満期まで保有し、発行体が約束どおりすべてを支払い、各クーポンを同じYTMで再投資する場合に限られます。したがって、これらの前提が示される問題や、キャッシュフローのIRRを求める問題はYTMを指しています。ただし、「リターン」という語が出たら常にYTMを意味するとは考えないでください。
単純利回りという概算値もあります。
単純利回り=[年間クーポン+(額面価値−裸価格)÷残存年数]÷裸価格。
中央の項は、割引による利益(またはプレミアムによる損失)を残存年数に均等配分します。貨幣の時間価値は無視され、主に日本国債(JGB)の気配値で使われます。知っておく価値はありますが、問われる答えになることはまれです。
順序を間違えやすい関係
定義を知っている受験者でも、ここで失点します。通常の固定利付債について、各利率を比較可能な年率ベースにそろえると、債券価格に応じて順序が反転します。
- 割引債 (discount bond)(価格 < 額面価値):額面で償還される際の利益も得るため、クーポンレート < 直接利回り < YTMとなり、YTMが最も高くなります。
- プレミアム債 (premium bond)(価格 > 額面価値):額面で償還される際に損失が生じるため、YTM < 直接利回り < クーポンレートとなり、YTMが最も低くなります。
- パー債(価格=額面価値):クーポンレート=直接利回り=YTMです。3つはすべて一致します。
(これはある時点での静的な順序であり、実際にクーポンがあることを前提とします。ゼロクーポン債には、順序を比較できるクーポンレートも直接利回りもありません。)
プレッシャーの下で尺度を混同する理由
直接利回りは、電卓なしでも5秒で計算できます。そのため時間に追われると、設問がYTMを求めていても、つい直接利回りを選びたくなります。割引債とプレミアム債の順序を正しく覚えるには、満期時の利益または損失と結び付けてください。割引債は額面価値へ近づく過程で利益が生じ、総合リターンをクーポンより押し上げます。プレミアム債は損失が生じ、総合リターンをクーポンより押し下げます。
クイックリファレンス
通常の固定利付債の場合:
| 債券 | 順序(低い→高い) |
|---|---|
| 割引(価格 < 額面価値) | クーポンレート < 直接利回り < YTM |
| パー(価格=額面価値) | クーポンレート=直接利回り=YTM |
| プレミアム(価格 > 額面価値) | YTM < 直接利回り < クーポンレート |
一文で覚えるなら、割引債ではクーポンレート < 直接利回り < YTM、プレミアム債では逆転し、パーでは一致するです。すぐ計算できる利回りに飛びつく前に、設問が実際にどの利回りを求めているかを確認してください。
未収・未払と繰延べの罠と同じ構造です。密接に関連する用語のうち、違うものを選ぶと答えが反転します。対策も同じで、規則だけでなく、それぞれの意味と結び付けて覚えてください。
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