ポートフォリオリスクと相関の罠

練習問題で、ボラティリティが20%と10%の二資産、同じ0.5のウェイト、相関が0と示されます。受験者は、使い慣れた期待収益率の方法を転用できると考え、二つのボラティリティを平均して15.00%を選びます。正しいポートフォリオの標準偏差 (standard deviation)は11.18%です。計算は難しくありません。失点の原因は、資産がどのように連動するかを示す唯一の入力値を見落とすことです。

期待収益率とリスクでは計算の仕組みが異なる

ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率とウェイトから求めます。この計算は各保有資産がポートフォリオの平均的な成果にどれだけ寄与するかを問うため、相互作用を表す項は不要です。

E(Rₚ) = w₁E(R₁) + w₂E(R₂)

リスクは異なります。二つの変動性の高い資産は同時に上昇・下落することも、反対方向に動くことも、その中間の動きをすることもあります。したがって、各資産の標準偏差だけでは全体の一部しか分かりません。

σₚ = √(w₁²σ₁² + w₂²σ₂² + 2w₁w₂σ₁σ₂ρ₁₂)

ウェイトを置く位置が重要です。ポートフォリオの分散 (variance)では各ウェイトを二乗し、分散の各項を合算してから初めて平方根を取ります。標準偏差の単純平均では、この構造を完全に飛ばしてしまいます。電卓の画面上では整って見えても、ポートフォリオの式が求めていない計算に答えていることになります。

最後の項は相互作用を捉えます。ここにある相関係数 (correlation coefficient)ρ₁₂が資産の値動きを結び付けます。この項を省くと、単に計算を簡略化するのではなく、経済的な問いそのものを変えてしまいます。

相関が分散効果 (diversification benefit)を生む

両方のウェイトとボラティリティが正であるロングオンリーのポートフォリオでは、σₚがw₁σ₁ + w₂σ₂と等しくなるのはρ₁₂ = 1の場合だけです。資産が完全に同じ方向へ動くため、組み合わせても、この加重ボラティリティの基準値からリスクは低下しません。

その条件下でρ₁₂が1を下回る場合、ポートフォリオの標準偏差は必ず基準値より低くなります。この差が分散効果です。相関が0でも分散効果は生じます。分散計算から相関項は消えますが、ポートフォリオリスクが二つの標準偏差の単純な平均になるわけではありません。

相関ゼロのポートフォリオを計算する

数値上の効果がゼロでも、相関は計算設定に含めます。この違いは見落としやすい点です。値がゼロの項は検討したうえで処理されていますが、項を省けば資産間の関係をまったく評価していないことになります。

問題の等しいウェイトを二乗すると0.25です。20%と10%のボラティリティは、分散計算に0.04と0.01として入り、ρ = 0なので最後の項はゼロになります。

σₚ = √(0.25 × 0.04 + 0.25 × 0.01 + 0) = √0.0125 = 11.18%

15.00%という選択肢は、0.5 × 20% + 0.5 × 10%から生じます。すべての数値を使い、加重平均の形も妥当に見えるため、もっともらしい誤答です。しかし、与えられた相関が消えています。それが警告のサインです。

クイックリファレンス

問題文の情報何が変わるかよくある読み違い
期待収益率各収益率を直接加重する同じ方法をボラティリティにも使う
相関が提示される資産間の相互作用がポートフォリオの分散に入る相関を使わず計算を終える
ρ = 1加重ボラティリティの基準値から低下しないこの等式が常に成り立つと考える
ρが1未満ポートフォリオリスクがその基準値を下回る分散効果を見落とす
ρ = 0相互作用の項がゼロになる分散効果がないと考える

ρ = 1での等式は、正のウェイトと正のボラティリティを持つロングオンリーのポートフォリオという条件に依存します。試験問題では、このような語句に本当の論点が隠れていることがよくあります。条件を落とした記述は、式に見覚えがあっても誤りになり得ます。一方、相関または共分散 (covariance)が示される問題は、保有資産間の関係を計算に含めるよう伝えています。

これは、税引後負債コストの罠と同じ構造です。どちらも、集計前に一つの入力値を特別に扱う必要があるのに、使い慣れた加重平均をそのまま使うと誤ります。

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